砂丘 雑記 2014年10月04日 10月4日、なんとなく鳥取砂丘で一晩過ごすことにした。【思ったより綺麗ではなかった鳥取砂丘】此処へ来たのは人生で二度目。大学の時に青春18切符を使って北海道は札幌から鹿児島まで南下した時に一度寄ったことがある。何年の時だったいまいち覚えていないので正確ではないけど、たぶん7年くらい前のことだったろうと思う。その時は正直期待なんて全くしておらず、どうせ有名なだけで大したことはないんだろうさ、という気分でとりあえず見に来ただけだった。でも、その時に見た鳥取砂丘は想像していたよりも遥かに綺麗だった。その記憶があったからか、急に鳥取砂丘に行きたくなった。本当は29日に札幌へ帰る予定で飛行機まで取ったあったんだけど、それをキャンセルしてまで電車でのんびり来てしまった。ほんで数年ぶりにやっとこさやって来た鳥取砂丘! なんだろう。全然綺麗じゃない。この写真は加工してあるからこんなんだけど、全然綺麗じゃない。記憶で美化され過ぎたのだろうか?でもそういう問題ではないくらいに綺麗じゃない。ガッカリ。テンションだだ下がり。関係ないけどだだ下がりの「だだ」って何。だだ漏れ。三面怪人ダダ。前に来た時の季節はいつだったかな?良く分からないけど雰囲気が違う。今がオンシーズンなんだろうか。人が多い。そしてそこら中が足跡だらけで全くもって美しくない。乗って写真が撮れますよ!的なラクダまで用意されている。うぬぬぬぬ。さらに緑の草生えまくり。前に来たのはこれより遅い季節もしくは春先とかだったのかな?とりあえず誰が何と言おうと美しくない鳥取砂丘が眼前に広がっている。俺は何をしに鳥取くんだりまでやって来たのだろうか?「くんだり」ってちょっと嘲った表現になるのかな?もしそうならそういう意図はないのですみません。無くは無いか。己への嘲笑などを含めて。いやぁ結構なバス代やら食事宿泊費なんかをかけてやって来た結果がこの美しくない砂丘。無駄の極み。お金も時間もエネルギーもあれもこれもすべてが無駄じゃないか?そうじゃないか?そんなんで、はいそうですかって帰るわけにも行かないので今日は砂丘で一晩明かすことと致しました。 【とは言ってもテントや寝袋があるわけではない】一晩明かすことにしました、なんつって決めたわけですが、用意なんてものは全くしていないわけです。なのでテントや寝袋があるわけではない。でも、普通に生活している中でも「酒飲んで一晩明かしちゃったよ」や「作業しているうちに朝になってたぜ」なんてことがあるわけなので、たった一晩くらい砂丘ふらついてりゃ明けんだろうさ、ってな軽い考え。僕が今回持ってきているカメラバッグは以前書いた通り防水仕様なので、遮るもののない砂丘で夜中雨が降ってもパソコンやカメラは守られます。しかし、カメラやパソコンが守られても僕自身は決して防水仕様ではないので困るなぁと思い、夜の天気を検索してみたところ「晴れ時々曇り」とのことだったのでそれを信頼することとする。夕暮れ。 たくさんの人が夕陽を眺めている。この時間くらいに鳥取砂丘から鳥取駅への最終バスが出るので、徐々に人が減り始める。最終バスが行ってからも車で来ている人もちらほらいるようで、なかなか無人になるということはなかった。19時過ぎ。完全に日は暮れ、あたりは暗闇に包まれるかと思いきや、意外と明るい。雲間から大きな月が覗いているせいもありますが、砂丘周辺の建物などにまだ割と灯りが灯っているせいでけっこう明るい。残念。暗闇の砂丘に浸りたかったのに。さらにこれくらいの時間だとちょいちょい人もやってくる。このくらいの時間帯僕は砂丘の入り口から結構離れたちょっと小高いところに胡坐をかいて座っていたのですが、時々入り口のほうに懐中電灯などの明かりが見え、ワイワイした声が聞こえてきたりした。ワイワイキャイキャイチャイチャ。別に俺の敷地じゃないから何も文句は無いんだけどね。雑音。でも楽しいだろうなと思う。夜のだだっ広い砂丘に友達や彼女とやってくるの。いつかやってみたい。おすすめ。でも暗闇に僕みたいな意味の分からん生き物が潜んでいないとも言えないのでご注意を。【信頼を裏切られる】刻々と夜が更ける。周囲の建物の明かりも消えていき、周囲の黒が濃くなる。これだよ!待っていたのは!と己のテンションも上がり始める。やってくる人も減り、あたりは波の音と風の音のみ。時々自身の鼓動とか。東京や大阪は札幌よりもかなり暑いな!なんて思っていたのに、夜の鳥取砂丘はやたらと寒い。当たり前だし覚悟はしていたから良いんだけども。それにしてもいつもこれくらいの海風が吹くのか、もしくは近くまでやって来ている台風の影響なのか、やたらと風が強い。それ故に体から奪われる体温の量がなかなかに大きい。靴を脱いでいる裸足の裏から砂へも体温が浸透していく。楽しい。風が砂を巻き上げ飛ばしているから、ひざ下くらいまではそれが飛んできてけっこう痛い。座る分には問題がないのだけれど、寝転がると顔面や耳を砂が襲う。なので寝転がれない。常時座るか歩いているかしかない状態。楽しい。気分も良くなってきたので一人で砂丘を歩き回りながら大声で歌を歌う。ただ歌ったり、音楽聴きながら歌ったり。気持ちが良い。走り回る。転げまわる。踊る。踊り狂う。歌って踊ってでんぐり返ってバイマイサイ。んなことしてたら顔面にあたる冷たいものあり。数瞬の後それはそこら中に落下してくる。雨。天気予報とは何ぞや。予報だ。予報だから外れるのは仕方ない。でも「あの予報の野郎め!外しやがって!」とやっぱり思わなくもない。その一方で、少し雨を期待していた自分もいる。冷え切った体に降る冷たい雨。これでもかと体温を奪いに来る秋の砂丘の波状攻撃。楽しいことこの上ない。かきたくない汗で濡れることと、履いている靴が濡れることは最もと言っていいほど嫌いですが、濡れても良い時に濡れるのはとても好きである。今は服着たままだけど濡れても良いタイミング。靴だけは鞄の下に隠しました。楽しい。けど立ち止まったり座っていると震えが止まらないほどに寒い。死ぬそう。なので、いやなのでってわけでもないけど走り回って泥んこで転げまわって歌ってなんだかんだ。さほど大降りではなく、ちょくちょく降ったり止んだり。雲間から月や星が見える明るい時もあれば、雲に包まれて真っ暗になったりする。楽しい。【海へ】鳥取砂丘ってようするにでっかい浜辺なんだけど、泳いでいる人を見たことがない。そりゃ夏に行ったことないからってのもあるんだけど、なんとなく泳ぐイメージが無かったのでなんでかなぁと思っていたら昼間たまたま見た看板に「強い離岸流のため遊泳禁止」と書かれていた。なるほどなるほど。だからみんな泳いでいないんだね。そんなわけで海へ。体の泥落としがてら膝まで。イメージ先行ゆえかもしれないけど潮の引きが強い、ような気がする(たぶん気がしただけ)真っ暗闇の中の海って面白い。白波だけが視認できるのであまり見たことのない姿。雨の降っていないタイミングなどで一眼出して写真撮ってみたけどあまり面白いものは撮れず。ただ塩や砂でカメラがダメージを受けただけのように思う。ごめんカメラン。腰まで浸かって泳いでみる。怖い。今まで何事も無いように書いていますが、僕はけっこうおばけとか幽霊が怖い人間なのでびくびくしてたりする。テンション高いから気にしてなかったりするけど。でも夜中の海は怖い。何かしらに足が引っ張られそう。そうでなくても離岸流に沖まで連れてかれそうではあるけどもね。亡くなった人は海から帰って来るとか、海って何かしら得体の知れないものがやってくるイメージ。そんなところで泳ぐ。超怖い。離岸流も怖い。あと忘れてるかもしれないけど超寒い。いろいろやばい。要するに楽しい。海から上がる。全身海水浸たし。吹き荒ぶ風でさらに強奪される体温。もういろいろ取り返しがつかない。とても楽しい。【迫りくる謎の赤いLED(ちょっと怖い話)】そんなボロボロの状態で夜が明けてバスが動き始めるまでどうしようか、と当てもなく何となく考えていた時、視界に赤い光が映り込んできました。新しいタイプの赤信号みたいに5~6個程度の赤いLEDのような明かりが集まって、少し離れた砂の丘の上でゆったりと点滅している。なんだあれ?雨が降ったり止んだりしているこんな時間の砂丘に、あんまり人が来るとは思えない。それにもし人が来たのだとしても、あんな良く分からんライトは使わないだろうと思う。あれなんだ?暗闇ゆえに遠近感が測りづらいとはいえ、こちらからは丘を見上げている形なので、遠くの光を見間違えているとも考えづらく、まず間違いなく丘の上で光っている。要するに丘の上にさっきまで無かった何かがある。ないし何かがいる。え、怖いんですけど。今まで我慢してたけど結構怖いんですけど?そんなことを思った瞬間、さっきまでただ点滅していた赤い光が、まるで誰かが滅茶苦茶に振り回しているように動き始めました。本格的に怖い。真っ暗ではないから砂丘のシルエットなどはわかるんだけど、赤い光の傍に人影は見えないように思う。ただ赤い光が点滅しながら滅茶苦茶に動いている。本格的に怖い。そしてその光は突如下り始める。僕に向かって。これまた一直線と言うわけではなく、誰かが全速力で転げながら降りてくるような移動の仕方。怖い。気持ち悪い。てかこっち向かってきてる。やばい。その光は海岸沿いにいる僕と同じ高さまで降りてくるとそのまま僕に向かって猛スピードで近づいてくる。これはもう完全に人外のもの。あ、これ俺死ぬ奴だわ、って思った。本当に。若干諦めつつも最後にこの赤い野郎の正体見てやろう、出来る事なら全力で一発ぶん殴ってやろうと身構え凝視していたら、突然消えました。僕から5~10mくらいの距離だったんじゃないかな、暗いから定かではないんだけど。点滅しながら猛スピードで近づいていたのが、突如完全に消える。もしかしたら今は点滅の消えている状態なだけで、気を抜いた瞬間目の前で真っ赤に光る!とかそういうパターンかなと思って結構長い間身構えていたんだけど別にそんなこともなく。いきなり消えてお終い。怖い。一応ビビりながら消えたあたりまで行って見回してみたけどなんの跡形もなし。足跡も無し。丘を下ってきたであろう所も砂が崩れたような形跡はなし。なんだったんだ。寒さが見せた幻覚なのかなんなのか、とりあえず謎の赤い光とはそれ以降も出会いませんでした。怖かった。【疲弊】寒さと恐怖と、後は単純な疲れで体力はもう限界。だからと言ってどうすることもできないので、取り敢えず眠ることにしました。いろいろしている間に波が来るギリギリの砂が濡れている部分なら、ほぼ風で砂が飛ぶこともなく寝転がることが出来ると気付いたから。地面は濡れてるから超寒いけどね。場所はどこにしようかなと歩き回っていたら良さげな切り株を発見。それを枕にすることとする。 この切り株の向こうが海。フラッシュ焚いたらなんか粒々たくさん映った。どう考えても砂か水しぶきかそんなんなんだろうけど、よく心霊写真とかで聞くオーブ⁉と思って一瞬怖かった。まぁ正直そんなんどうでも良いくらい眠かったので気にしなかったけど。そのまま夜明けまで寝て、後は何事もなく始発のバス乗って鳥取駅まで戻ってお終い。その前に砂払ったりなんだりかんだりしたけどそれはたいしたことじゃないから省略。誕生日ってそれまでの人生の行いとか人間関係が出るんだな、まぁ諸々仕方ないよね自業自得だわ、と思って過ごした一日でありました。ちゃんちゃん。 ●今までに行った場所一覧はこちらから → 『世界一周で周った場所一覧』 PR